Ciao!ようやく運よくナポリのサルトリアでスタートを切ることができた。サルトリアでの作業は始まったばかり。
サルトリアで作業を始めた2日目。朝サルトリアに行くと、マエストロGianni Volpe(ジャンニ・ヴォルペ)がいた。
サルトリア・ジャンニ・ヴォルペはコストパフォーマンスもよく、納期ペースが比較的速めで、ナポリを中心にローマやミラノ、フランスなど国内外問わず多くの顧客を抱えている。(instagram @sartoria_volpe)
自己紹介をするなり、ジャンニ不在だった昨日はなにをしたのか聞かれた。
説明もできないので、とりあえず昨日作った上衿の芯を見せた。
5秒間程それを見ると、笑い出し、「まだまだだな!まあ焦らずゆっくりゆっくり学んでいくんだ」というようなことを言われた。
針使いがどんなもんか見せてみろというので上衿の芯作りをみせると、まず針の持ち方とディターレ(指貫)の使い方がイマイチだと。指貫とは針のお尻を押し出すための金属の指輪のようなもので、伊語ではDita(指)から派生したDitale(ディターレ)と呼ばれている。
「こうやって使う」と見せてくれた。驚いた、とてもスムーズかつ柔らかいタッチ、まるで針が勝手に自分で進んでいるように見えた。針の出し入れする場所なども早くやってるのに正確であった。
「こうして、こう」みたいにつぶやきながら教えてくれているのだろうが、とても理解できず、これは感覚的なものなのだなと思った。
すると、いきなりしつけ糸でディターレをつけた中指をぐるぐる巻きにくくって固定された。
これだと中指が開かないため正しい指の位置をキープできる。最初は固定されてていも中指が離れようとしていたが、昼食の際や休憩の際も一日中外さずにいると夕方ごろには中指のあるべき場所を自然と手が覚えてきた。
次の日は固定せずにディターレを使うことができるようになっていた。すると一気にスピードや縫う時の快適さが増し、作業効率もあがり、縫うのが楽しくなった。
その日ジャンニが帰る21時頃に「今日はもう帰ろう。ゆっくりゆっくり(伊語「ピアーノ・ピアーノ」)。」と言われるまで無心で縫い続けたのであった。