『イタリアのジャケット』矢島みゆき著 SOEN EYE No.24 一部抜粋
1351年に、世界で初めて組合を結成したナポリの仕立屋の存在は、ヨーロッパの人々にとってあずかり知らぬものだった。18世紀、英国人の間で、イタリアへの旅行が流行した時代、特に、ナポリは多くの英国人を迎え、彼らにイタリア文化をもたらすと同時に、英国人からもイタリア人たちは様々な影響を受けた。ナポリ滞在を終えた英国にもどった人々の口コミで、ナポリの仕立屋の技術の程は、広くヨーロッパに伝えられるようになる。
~略~英国の影響を吸収しながら育ったナポリの仕立て屋は、カット、縫製共にすでに世界的名声を築いており、世界各地に支店を構えていた。ナポリの仕立屋がつくるジャケットは「手を折り曲げても、手を伸ばしても、シャツは18ミリきっかり、ジャケットの袖口からでたまま動かない」ことで定評があった。