manica camicia （マニカカミーチャ）

ナポリジャケットの特徴である、ナチュラルショルダーを具現化するディテールの一つがmanica camiciaという袖付けです。

伊語　manica『袖』　camicia『シャツ』という意味で、シャツ袖の様な袖付けがそう言われる由縁です。見え方が肩先にギャザーが入った袖のことをいわれます。作り方の違いとしては、袖山の縫い代を倒す方向です。身頃側に倒すのか袖側に倒すのか、縫製処理の違いです。

一般的に袖付けは、縫い代を袖側に倒し、肩先にたれ綿（袖付け部の詰め物）を付け構築的に作ります。一方マニカ・カミーチャの多くは、縫い代を袖側に倒し、たれ綿など入れず、生地の張力で丸く柔らかにつけます。これにより”人の動きの中でついてくる”自然な印象です。また肩線から袖山がポコンと出ない、人体に近い自然なシルエットとなります。

通常、仕立屋のなかで袖付けが難所と言われる所以は、この丸くきれいにつけるためには、生地をアイロンでイセを追い込み、適所に配分する手加減（感覚）の作業が必要だからです。其々の生地にもよりますが、良く膨らんだ袖は上腕に引っかからず着やすい袖と言えます。まるで昔の映画スターが着ているような、、。袖つけは奥がふかい、、、

また、袖は”トランペットの様な”形で、肩先から袖口にかけ流れるよう絞り、作ります。袖横幅が広く、運動量が多いと言えます。