写真のようなポケットをTasca a filoと呼びます。伊語Filo=線です
フラップ(雨蓋)の付いたポケットをしまうとこの様な形になります。
本来フラップは雨蓋の役割で、原則的には室外ではフラップを外に出し、室内では内側に隠しておくともいわれてました。ゆえに室内でのみ着るようなフォーマル(タキシード等)なものにはフラップはついていません。
弊店では、基本スタイルとして、ふたナシをお勧めしてます。それは、全体のシルエットとの相性が良いからです。大丸のフロントカット、全体にボタン位置を下げたデザイン等のためです。
また、ポケット製作段階について、我々は、共地の玉縁布を縫いこみ、ポケットの端を手加減でくるみ、手縫いで縫い込んでいきます。柔らかく丸く作ります。一方、パターンオーダーなど、作業工程を簡略化したスーツは直線的なポケット等は機械に生地をセットするだけで大半の工程を行ってくれます。確かに仕上がりは綺麗で正確です。しかし、どこか”生地の意見を聞かず”、人間本位な作り方で味気無さも感じます。
『神は細部に宿る』とは近代建築の巨匠、ミース・ファン・デル・ローエの言葉です。なんて言い過ぎでしょうか(笑)
pinorso 向井